組織マネジメント
完璧主義
メリット
細かな点に気がつき、小さな欠点をも改善できる。
デメリット
些細な点に注意が向きすぎると、大局を見失ってしまい、大きな視点での判断を誤ってしまうことがある。
相対価値
人は無意識のうちにでも、複数のものを比較して優劣を判断している。
社員同士の能力の違いや、売られている商品性能の違いなど。
その差で優劣を判断するのだが、その差そのものはたいていは「ちょっとした差」である。
他よりちょっと安い、ちょっと品質が良い、ちょっと仕事ができる、といったように。
どちらの商品を買うか、どちらの社員を表彰するかは、ちょっとした差である。
そのちょっとした差を生み出すのは、日々の個人の努力によるものである。
管理監督者の努力よりも、現場で活動する人間の努力であったり、
ボーっとしている人の努力よりも、前向きに一生懸命になっている人の努力によるものである。
組織の改善活動
現場力向上のポイント
現場力を向上させるためのポイントは、次の通り。
- 現場が自ら問題を発見できること。その能力が高いこと。
- 一部の人の能力だけが高いのではなく、現場関係者全員の能力を高め、組織としての能力を高めていること。
- 何かでトップを目指そうと努力していること。目標を設定し、目標を達成するよう活動していること。
これらのポイントを日々実践している現場は、優秀な組織、強い組織になり得る。
「改善」「改良」の意識が高い状態であれば、現場も強くなれる。
問題発見能力の高い組織の特徴
- 組織として「改善」「改良」に意識が向いている。
- さまざまな状況を「見える化」し、容易に問題点を把握できる仕組みを作っている
改善活動に必要なスキル
手順を踏んで改善活動を進めるスキル
改善テーマの設定、問題の明確化、問題の原因分析、問題への対策の立案、効果測定などの一連の手順を理解する。さらに、周りの人を納得させる説明を行うなどの工夫をする。
業務の無駄を見える化し、無駄を取り除くスキル
「無駄」があることを他人が見ても理解できるよう客観的に示す。
無駄を除去したこと、効率化されたこと、付加価値が生まれたことも見える化する。
メンバーを改善活動に協力させるスキル
メンバーひとりひとりが改善の意識を持たなければ、組織的な改善は行えない。
メンバーの積極性を引き出すための心構えや方法論が必要になる。
成功する企画
自分で企画を立てる場合に限らず、部下など他人に企画を立てさせるときに大切となるプロセスについて。
企画を集める前にやるべきこと
企画をやる上でまずやるべきことは、企画を立案しようとする会社、組織、グループの目的を明確にすること。
目的の設定がないまま、ニーズやシーズをもとに企画を立てると、的外れな企画になりやすい。
いくら画期的だったり、消費者心理を満たす企画であっても、目的を達成できなければ意味がない企画となる。
この点を認識させたうえで、企画を集めるとよい。
企画を立てるうえで重要なポイント
企画を立てるときは、次の7つのポイントを押さえる。
- 背景、経緯
- 現状の課題
- 課題改善の可能性
- 目標
- 目標達成のための行動プラン
- 費用対効果(いつまでにどのくらいの利益が出るのか)
- 他に与える影響
この7つのポイントは、企画立案におけるプロセスの順に並んでいる。
まず背景や経緯などの情報を収集し、現状の課題が何かを把握する。
次に課題とその改善可能性を洗い出す。数ある改善可能性の中から絞り込み、それを実現するための企画を立てる。
立てた企画に対して、どれほど費用がかかるのか、また課題解決によてどれほどの利益をもたらすのかを、定量的に評価する。
その一方で、企画実現におけるリスクを多面的に検証し、企画を実施するうえで発生する課題にどう対処するかも考える。
「目標達成のためのアクションプラン」だけを考えても、前後のプロセスがない企画は「ただの思いつき」にすぎず、最終的には有用性をもたらさない。
この7つのポイントがすべて揃うことで、企画に価値が生まれる。
部下に企画を立てさせる場合などは、1〜7を書き込ませるフォーマットを作っておけば、これらが抜け落ちることがない。
悪い企画の例
自社商品で扱っているのと、全く畑違いの商品立案をする
→現状把握と課題の洗い出しができていない。たいていは、経済性も考慮されていない。
ヒット確実と思われる商品だが、資金力がないためにできない(中小企業なのに大企業並みにお金をつぎ込まないとできない企画)
→経済性の検証ができていない
企画を立てるときに、その裏付けとなるデータがない
→背景・経緯を把握できていない。なお、過去のデータが未来も同じというわけではない点には注意が必要。
企画を出してきた人に突っ込んだ質問をしても、ほとんど答えられない
→表面的な情報をつないだだけで、本人の中で十分な理解に落とし込まれていない。十分に練り込まれた企画なら、成功の根拠、現状の課題の大きさ、経済性について語れるはず。
企画のレビュー
他人の企画を、問題がないかどうかチェックするときのポイント。
表面的な観点ではなく、本質的な観点で考えているかを確認する。
企画の内容を詳細に突っ込んで質問した時に答えられないようだと、中途半端にしか考えていなかったり、企画に落とし穴があることになる。
情報の流れを止めるコミュニケーション不足
プロジェクトがうまくマネジメントできない原因として、業務上重要な情報の流れがある人のところで止まってしまうことがあげられる。
以下に該当するような人物がいれば、プロジェクト進行上悪影響が出るケースが多い。
- 他人に伝えなければならない情報を、誰にも話さず自分のところで止めている
(情報共有をしない)
- 忙しい、めんどくさいなどと理由をつけ、会議に参加しない
(決定権を持つものが会議に参加しなければ、物事が先に進まない)
- 問題点に気づいているのに、誰にも話さない
(問題の先送り)
- 作業の遅延を、他人のせい、運営手法のせい、ルールのせいにする。
(その人の作業スピードの向上は見込めない)
- 議論の際、都合の悪い話に耳を貸さない、議論そのものをはねつける。
(チームの都合より自分の都合を優先させる、ただの無責任)
- 自らの責任を、都合良く小さく規定する
(楽ばかりしようとする)
- 物事を、どんどん複雑にしてしまう
(まわりを混乱させる)
このような人物がいれば、教育指導により改善する必要がある。
どうにも改善の見込みがなければ、時には要員交代もやむを得ないかもしれない。代わりの要員は当然、上記の項目を意識できる人材でなければならないが。
会議・打ち合わせ
有用、無用の判断
組織で仕事をするとき、何度となく会議が行われるかと思います。
複数名の考えをまとめ、意識や目標を一つにするなど、その有用性はたしかにあります。
しかし、みんなを一堂に集めたうえに、業務に関連のないことを長々と話し合っているのは、明らかに時間の無駄です。
ある情報や話し合いが、ある人にとっては有用でも、別の人にとっては無用なことだってあります。
時間は有限です。
時間を有効に活用することは、ビジネスにおける成功のポイントだと思います。
自分たちが行っている会議は、有用なものでしょうか、それとも無駄を感じるものでしょうか。
無駄と感じるならば、改善していく勇気を持ち、行動していきましょう。
会議、打ち合わせの頻度
会議や打ち合わせなどを頻繁に行うと、当然それに工数が裂かれます。
会議の出席人数が多ければ、それだけ大きな工数を消費することになります。
しかし、会議などで進捗確認などを正確に行うことにより、仕様書の漏れや手戻りとなりそうなリスクを早い段階で検出/削減することが可能になります。
仕様不備によるプロジェクトの遅延を取り戻す工数よりも、会議の工数のほうが小さいことがほとんどでしょう。
そういった観点で考えると、納期遵守、低リスクを実現するためには、中身のある会議を重ねることは重要になります。
(だらだらと時間を消費するだけの会議が無意味なことは、いうまでもありません)
特に、プロジェクトの規模が大きいほど、その効果は大きくなります。
プロジェクトがきっちり回っているかどうかを確認するために、会議を重ねるのは有効であることのほうが多いと感じます。
ヒアリングでは合意形成を
ヒアリングにおいては、案に対して異論がないか、案に対して納得を示しているかを、意見を聞いて確認する必要がある。
また、「言いそびれても後でいえばよい」「言わなくても分かっているはず」といった理由で発言をしない人もいる。
後になってから、「最初から賛成したつもりはない」「言わなかったが実は反対だった」などと言われないようにするため、ヒアリングの際に「ここで決定したことは後で変えられない」ということを相手に認識してもらう。その際には、後での変更によって、納期遅れや品質の悪化などが発生する事も伝えること。
キックオフミーティング
準備しておくべきもの
- プロジェクト計画書
目的、目標、マイルストーンを明確にする。
- プロジェクト体制表・体制図
プロジェクト体制を確立し、誰が何を担当するかを明確にする。
プロジェクトに関するステークホルダーの確認する。
- 課題管理表、リスク管理表
問題点があれば、あらかじめメンバー同士で共有する。
- 予算計画書
プロジェクト開始後の収支計画、予算管理を行うために使う。
キックオフミーティングで伝えること
- 基本設計フェーズまでの要件定義のフェーズでは、システム化に必要なことを一通りまとめる。ここでまとめきれなかった部分は、システム開発の対象から外れることになる。
- 基本設計完了後に仕様変更が起こると、システムそのものの設計からやり直すことになるため、納期やコスト、品質に大きな影響が出る。後になるほど、仕様変更はしづらくなる。
- 設計書が間違っていると、発注者が期待するシステムにはならない。設計書の内容が正しいかどうか、発注者の責任でしっかりレビューする必要がある。
部下の育成
部下の育成のページを参照してください。
報告
リーダーは悪い情報もしっかり集めよ
いい情報も悪い情報も、リーダーは吸い上げて、今後の活動に生かすべし。
これは、チームリーダーにとって必要な心構えです。
チームメンバーから報告があっても、それがリーダーに都合のいいようにゆがめられた情報であれば、それがチームにとってどれだけ都合のよいものであったとしても、チームにためになる正しい情報とはいえません。
そのような情報を基にした判断は、チームの方向性をゆがめる判断となってしまいます。
部下が悪い情報を持ってきたとき、不機嫌になったり報告者を責めてばかりでは、部下は決して悪い情報を伝達してくれなくなります。
何か悪い状況になっても、それをリーダーは知ることができません。チームがコミュニケーション不足に陥っている状況にもなり、チームはより悪い方向に向かう可能性があります。
チームにとって悪い情報もいい情報も、チームにとっては正しい情報です。
問題点を早めに把握するためにも、悪い情報もしっかり取り入れる姿勢をリーダーは持つべきです。
現状を正しく報告する報告書の書き方
以下のような表現を用いることを禁じると、適当なことを書くことができなくなるため、正確さの高い報告書を作ることができる。
- 期日をあいまいにする言葉
「早い段階で」「近いうちに」「近日中に」「随時」「現在〜中」「月初(月末)」「〜月中(〜日中)」「上旬(下旬)」「早急に(できるだけ早く)」「適切な時期に」など
- 問題に向き合っていない表現、すべてを表現しきれていない表現
「おおむね問題ない」「特に問題なし」「比較的」「〜の面では(〜のところは)」「基本的には」など
- 受け身的であり、自ら問題解決に動かないことを意味する表現
「〜する予定」「検討中」「検討を要する」「実施中」「〜は●さんの担当となった」「〜することが必要」
- 判断や行動の条件をあいまいにする言葉
「状況によって」「場合によって」「必要に応じて」「臨機応変に」
コーチング
コーチングとは
「あなたはどうしたい?」「あなたはどう思う?」といった問いかけと、それに対する答えにじっくり耳を傾ける傾聴により、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションスキルです。
あるテーマについて問いかけると、相手はそれにこたえるために自分の頭の中で様々な考えを並べ、自己対話を始めます。それを言葉にして自ら述べることで、それまで漠然としていた考えを整理したり、気づかなかったことに気づいたりできます。
この気づきが、次にとるべき行動を自ら選び、実行に移す原動力となります。
コーチングのむずかしさ
コーチングでは相手に問いかけることで解決に導こうとするものです。
しかし、相手がうまく返答できなかったり、会話がうまく成立できなかったり、一方的な問いかけとなってしまい逆に相手を困らせる結果にることもあります。
問いかけるだけではうまくいかないこともあり、難しい一面もあります。
相手に知識や経験が必要
相手の気付きを引き出すコーチングが有効なのは、相手がある程度の知識や経験を持っている場合です。知識や経験がない場合には、相手に質問をしても十分に考えたり判断することができないため、問いかけが「問い詰め」となってしまい、効果が出ないことがあります。
知識や経験に乏しい相手には、研修やOJTなどで相手に知識を与える方法が効果的です。
否定形で問いかけない
コーチングで効果を上げるためには、相手が安心して話すことができ、自由に発想できる環境を作ることが重要です。
「なぜやらなかったのか」「どうしてできなかったのか」という問いかけは、質問ではなく相手を責める言葉になります。このような言葉をかけると、相手も否定的な気持ち、考えが頭を巡ってしまうため、前向きな解決を生み出しにくくなります。
このような場合には、言い方を変えて、「うまくいかなかった原因は何かな?」「成功するには何が必要なのかな?」という前向きな表現にします。そうすることで、前向きな考えやすくなります。
複数の選択肢を提示する
相手に問いかけた後、いくつかの答えとなる考えや選択肢を相手に提示することも効果的です。
できれば3つ以上の選択肢を上げるとよいです。選択肢を一つしか出さないと、それ以外に答えがないような印象を与えることがあります。選択肢が二つだと、どちらかを選ばなくてはならない雰囲気にもなり、思考が拡大しなくなります。
自由な発想を行うために、3つ以上の選択肢を出すことが効果的です。
相手の疑問や質問にはあえて答えない
相手から質問などをされても、すべてそれに答えなければならないわけではありません。
答えがすぐに出ない場合には、「自分にも分らないことだから、一緒に考えよう」と語り、一緒に前向きでオープンな思考を継続します。
問いかけと指示を使い分ける
リーダー、上司がとるコミュニケーション方法は、コーチングだけではありません。
チームメンバーを引っ張るためのリーダーシップが必要な場合には、問いかけはあまり効果的ではありません。このようなときは、指示や命令のコミュニケーションを使うことが効果的です。
参考サイト
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