部下の育成
部下育成手法
先輩・上司はよいお手本であるべき
仕事のできる先輩を見習い、それに追いつこうと後輩が努力することによって、後輩は成長して行く。そのようなお手本となる上司が、部下の育成には必要。
後輩に、きちんと説明する、具体例を示す
後輩は、いろいろな物事を吸収しても「わかったつもり」になっていることも多々ある。後輩の理解度を一層上げるために、後輩の目の前で手を動かし、具体的に説明し、実際にやってみせる、こういった努力も先輩は行うべき。
部下にも仕事をさせる
上司たるもの、部下より短時間で多くの仕事をこなせる存在である。
しかし、部下に仕事を渡さなければ、部下の成長もない。部下が指示待ちタイプの人材であれば、積極的に仕事を振り、その仕事を自ら部下がこなせるよう誘導してやるとよい。その場合は、部下に自ら考えて行動するように促すとよい。
部下の仕事をきちんと評価する
部下が仕事をうまくこなした時には、きちんとほめてやる。
部下が失敗したときには、反省させ、同じ過ちを繰り返させないように指導する。
部下が失敗する可能性がある場合には、事前に上司がチェックし、部下にフィードバックする。
部下への仕事の権限移譲
部下に仕事をまかせるにあたり、様々な業務の権限を部下に移譲します。
部下のスキルに合わせ、権限移譲のスタイルに6段階を使い分けるのがコツです。
番号が大きいほど、部下により多くの権限を委譲するやり方です。
1.やってみせる
上司が仕事をする様子を部下に見せます。
なぜそのような仕事のやり方をするのかを上司が解説し、部下にも一緒に仕事を体験してもらうやり方です。
2.手取り足取り教える
部下が実際に手を動かして仕事をしますが、上司がすべてを指示します。
OJTでも用いられるやり方です。
3.主体的レビュー
仕事は部下に任せますが、仕事の方針判断と完了判断の権限は上司が持ちます。
一般的なプロジェクトマネージャーの仕事が、これにあたります。
4.受動的レビュー
仕事は部下に任せ、さらに仕事の完了判断も部下に任せます。
しかし、仕事の方針判断は権限委譲しません。
上司がプロジェクトマネージャでないメンバー、部下がプロジェクトマネージャである場合に多く使われるやり方です。
5.定点観測
仕事内容と、仕事の完了判断、方針判断を部下に委譲します。
上司は、納期を守れるか、品質は十分か、などの観点で定期的にチェックをするにとどめるやり方です。
6.放置
基本的に、完全に仕事を部下に任せ、上司は関与しません。
しかし、部下が問題を上司に報告して適切な対処を行わなければ、大きな問題に発展してしまう可能性があります。
叱るコツ
「叱るコツ」は、親子、友人同士、上司部下の間柄で叱る場合に共通して使える内容です。
叱る基準の明確化が必要
叱っても、叱られた人に納得感がなければ、叱った人への反発感が生まれることがあります。
例えば、遅刻をした人に叱っても、叱られた人が「他にも遅刻した人がいるのになんで私だけ叱られるの?」と疑問を持てば、叱られたことへの反省は生まれにくいです。
相手へ効果的に反省を促すためには、叱る基準が明確になっていることが重要です。
基準が明確だと、叱られた人も素直に受け止めやすくなります。
そのためには、どういう時に叱られるのかを、叱られる人が理解できているという状況をつくる必要があります。
例えば、1分の遅刻でしかる場合があったり、5分の遅刻でしからない場合もあるなら、遅刻に対して叱っても叱られた人は納得感が得にくいです。そこで、何分の遅刻でしかるのか、など基準を明確にしておくのです。
基準がなければ、1度目のミスが発覚した時に一つの基準を作って関係者間で共有し、2度目から叱るようにします。こうすることで、叱られるほうも納得感や反省感が生まれやすくなります。
叱るときの6つのコツ
1対1になれる場所で叱る。
複数の人の前でしかると、相手のプライドを傷つけてしまいます。
信頼関係を構築できなくなってしまい、逆効果になることもあります。
叱るポイントを絞る。
叱るポイントがいくつもあるからと言ってそれらを一気に指摘しても、一つ一つの叱られたポイントが頭に残らない結果となってしまいます。
本気で叱る
叱る人の真剣さが伝わらなければ、叱られたほうも「叱られた」と実感できないし、反省の気持ちも生まれにくいです。
結果よりもプロセスを叱る
結果だけを叱ると、叱られた人は失敗した原因やその防止策まで考えが及ばず、再び同じ失敗を繰り返す危険性があります。そのため、結果に至ってしまったプロセスを叱ることが重要です。
人格や存在を否定しない
人格や存在を否定しても、相手の悪い点を意識させて改善させたり、反省や気づきにつなげることはできません。
叱るときに感情的になってしまうと、このような発言をしてしまう可能性があるので注意しましょう。
叱りっぱなしにしない
叱った後はフォローを行いましょう。
叱ったことは、その人のことを思っての行為だ、というニュアンスを伝えることで、その後の信頼関係の構築にもつながっていきます。
また、叱った点が改善されていればそこをほめることも重要です。
ほめることで、叱った内容をもう一度意識させ、改善を定着させることができるからです。
効果的な部下へのフィードバック
部下へのフィードバックにおいて重要なことは、何がよいのか、何が悪いのかを、明確に伝えることです。
よいことを褒める場合には、どこがどのように良かったのか、その理由や根拠を伝えます。
改善欲しい点があれば、何をどのように変えるべきか、具体的に伝えます。
できて当たり前、と思うところがあっても、よい点をそのまま褒めます。
以下に、フィードバックの例を挙げます。
●評価の結果だけでなく、具体的な説明をする
×「この議事録いい出来だね」
○「この議事録は、発言者名とその発言内容に加え、議論の結論まで書けていて充実しているね」
×「いつもいい仕事をするね」
○「いつも納期内に正確な成果物を作ってくれるね」
●相手の性格ではなく、行動に注目する
×今日もおとなしかったね
○今日の会議で、一度も発言しなかったね
×机の上が散らかっててだらしないよ
○机の上に機密書類が出しっぱなしだよ
これらのフィードバックは、できるだけタイムリーに伝えます。
後で伝えるのではなく、気づいたその時にすぐに伝えると、より高い効果が出ます。
人事異動に納得いかない部下の対応
部下に対して、人事異動の経緯についてあれこれと言い訳っぽいことを言うのではなく、移動先でなぜその部下が必要とされているのかを伝えることが重要。
その際に、その部下の能力、将来性と関連付けて語ると、その部下の納得して受け入れてくれる可能性が高くなる。
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